お元気ですか?

新型コロナウイルス(Covid-19)のおかげで生活が一変しました。この状況は国民の半数近くが抗体を持つか、ワクチンが普及するまで続くのでしょうね。

先日、歯茎が腫れ、夜も寝られないほどの痛みに襲われたため、歯科を訪れました。医院では患者が重ならないよう患者ごとに時間を空け、急を要さない治療はすべて無期延期しているそうです。ついでに、少し熱と頭痛があったため行きつけの総合病院に立ち寄ったところ、熱があると言っただけで「別の診療場所」に誘導され、完全装備の医師と看護士に診察を受けました。Covid-19によると思われる症状は見られませんでしたが、念のため、2週間程度は自宅にいてくださいと言われ、新型コロナウイルスのリスクを実感しました。

2009年に発生した新型インフルエンザの治療薬と言われているタミフルですら、いまでは大きな治療効果がないことが判明しているそうです。実際には解熱鎮痛作用程度の効果しかないのではないかとも言われ、今後、「有効であることを実証する確かな研究」が出てこない限り、WHOでも「必ず在庫しなくてはならない必須医薬品リスト」 から削除するそうです。どうやらインフルエンザに掛かるとタミフル、と信じているのは日本人だけらしく、なんと、世界中の75%程度を日本が消費しているそうです。

タミフルはレムデシビルと同じギリアド社が開発し、ロシュ社が製造販売した薬剤ですが、臨床実験のデータに恣意的な解釈と操作があったのではないかと言われています。その事実を聞くと、レムデシビルもタミフル以上にアヤシイと思ってしまいます。感染者数の少ないSARSやMERSはともかくも、日本だけでも毎年数千人の死亡者が出るインフルエンザですらこの状況ですので、Covid-19の決定的な治療薬など「夢のまた夢」なのかもしれません。新型インフルエンザと同様に、そこそこ効果のあるワクチンを開発し、あとは既存の薬剤を使って治療の経験値を蓄積することで重症化と死亡率を下げるぐらいしか対処方法はないのでしょう。

先日、僕の自宅がある芦屋市の感染者数を人口10万人あたり、面積1平方キロあたりに換算したところ、実は東京都より多いことに気付きました。そりゃあ広報車が「外出しないように」と言って回ったり、災害放送が定時になると外出自粛を訴えるわけですよ。おまけに、会社からわずか100mほどしか離れていない大型電気店で感染者が発生し、1週間ほど閉めていました。先日、家内と買い物に行ったスーパーでも感染者が出て、本日現在、閉店中です。 ということは、すでに僕の身近でも、自覚症状のない感染者が普通に歩き回っているということですので、僕がいつ感染しても何の不思議もありません。僕の前に自動販売機のスイッチを押した人が感染者かもしれません。

地域によって感染リスクに対する感覚は大きく異なりますが、同じ地域でも身近に感染者や死亡者が出た人と出ていない人とでは大きく異なります。それは電話で話していても分かります。息子の会社でも新型コロナウイルスの影響により出社できる社員が激減したため、息子が長野にある某有名菓子メーカーから受注した機械の納期を少し伸ばして欲しいと申し入れたところ、「コロナごときで」と言われたそうです。周囲に感染者や死亡者のいない人にとって、コロナ騒動は「中東でテロにより300人が死亡した」程度の実感しかないのでしょう。

それはともかくも、現状を見ると、僕は、年齢、既往症、喫煙と死亡率の高い条件をパーフェクトに満たしています。心筋梗塞だけではなく、過去に何度か軽い肺炎も経験しています。おそらく感染すればイチコロでしょう。感染率が何パーセントと言っても、それは過去のデータに過ぎません。自分か感染する確率は、たとえば自覚症状のない感染者の隣に座れば100%かもしれません。要するに感染するかしないかなんて確率の問題ではなく、単に「運・不運」だけの問題、0%か100%でしかないというのが僕の考え方です。一つ確かなことは、昨日亡くなった力士のように、何らかの高リスクファクターを持つ人が新型コロナウイルスに感染すると、死亡率がインフルエンザなどに比べると桁違いに高いということです。この状況の中で、まだ緊急事態宣言が解除されていない地域で経営者、あるいは管理者が 高リスクファクターを持つ社員や部下に出勤を命じて感染し、死亡すれば、誰がどのように責任を取るのでしょう。それこそ、クルマのイベントで「事故が起こっても主催者に責任を問わない」という誓約書にサインするように、「感染し、死亡しても経営者や上司の責任を問わない」という誓約書でももらわなくてはならないのかもしれません。

今回の騒動でつくずく、日本は遅れていると感じたことは、感染者の数という最も基本的なデータにすら信頼性がないということです。厚労省が毎日発表する「前日の増加数」を足し上げると、合計数とも、都道府県が発表している数字とも、まったく合わない。世界中のデータを集約しているサイトで他国の数字を見ると、多くの国が「ほぼ一致」するのと大きな違いです。これは都道府県が発表するデータと、厚労省に報告しているデータとでは「作成する部署や中身が違う」以外に理由が考えられません。各国から「日本のデータは信頼性が低い」と言われても反論すら出来ないのが残念な実態のようです。

とは言うものの、現在までのところ、他の大半の国と比べても、ピークを後ろにズラすことや、ピークを押さえることに成功していることは数字が示しているところです。 感染症に対し、十分な経験と体制のなかった国としては上出来だと個人的には思っています。決定権のある人は、結果が良ければ称賛される人であり、結果が悪ければ責任を負う人です。決定権もなく、責任を負う立場にもない人がテレビやネットで「ほんの一部分」だけを取り上げて軽々しく非難すべきものではないでしょう。10万人あたりの死亡者数も、まだ0.5人をほんの少し超えた程度で、 比較的上手に対処したと言われているドイツの5%程度、感染症の経験値が高く、極めて上手に対処したと言われる韓国ともほぼ同数です。

かつてハイジャック事件のときに、人一人の命は地球より重い、と言った政治家がいましたが、バタバタと死亡者が増え続けている現状で、自分自身の命に対するリスクか収入のどちらを優先するのかは難しい問題です。しかし、運悪く死んでしまえば、それまでです。いままで死亡した数百人の方々も、まさか自分が感染し、死亡するなどとは思ってもみなかったでしょう。

どうか皆様、特に新型コロナウイルスに感染するかしないかが「命の問題」の方は、少なくとも状況が改善するまでは「巣篭もり」を続けていただき、また笑顔でお逢いできることを楽しみにしています。

エリザベス女王の言葉通り、We will meet again. です。