板金・塗装修理のご案内

クルマに乗っている限り、原因が本人にあるか、他の方にあるかに関わらず、板金・塗装修理が必要になることがあり、そのリスクからは逃れられません。しかし、同じ金額を払っても、様々な意味で、その結果は大きく変わってきます。

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日本で最初のスーパー・マーケットは1952年に大阪でオープンし、翌年には東京でもオープンしたそうです。なかでも、1960年代後半から戦後日本の高度成長に乗り全国展開したダイエーは生産者から直接商品を買い付けることで、いわゆる「価格破壊」を実現し、スーパー・マーケットという業態を日本に定着させました。中間マージンをカットすることで、販売価格を大幅に下げたということです。

現在、それと同じことが、ほぼすべての業界で行われています。特にインターネットを通じた販売形態は、ダイエーの全国展開のころと同じぐらいの価格破壊ぶりです。なにせ、弊社がバッテリーを仕入れる原価よりも、ネット販売のほうが安いのですからね。そりゃあ、そうです。たまに1個しか買わない弊社などに販売する価格より、毎月100個買ってくれるショップに安く出すのは当たり前です。価格だけで言えば、自動車修理屋さんでバッテリーを買う理由はありません。しかし、もしクルマに何らかの不調があった場合、バッテリーの交換だけで解決できるかどうかの判断は、インターネットのバッテリー屋さんではできません。ひょっとすると、オルタネーターかレギュレーターが「お疲れ」なのか、配線に問題があるのかもしれません。

それはさておき、長い前置きになりましたが、バッテリーなどは、どこで買っても同じモノですので、安く買えるに越したことはありません。しかし、板金・修理は作業するショップ、あるいは職人によって作業の中身や上手・下手が違います。また、作業を依頼するところにより、中間マージンの率も大きく変わってきます。言い換えれば、中間マージンの率によって、使える時間、使える資材などが変わってくるということにもなります。

たとえば、一般的な例ですと、新車/中古車/メーカー系/独立系を問わず、ディーラーなど自社で板金・塗装をしないところに修理を依頼しますと、当然ながら契約している板金・塗装業者へ下請けに出します。10万円の修理を依頼すると、下請け業者が受け取る金額は、最近では50%、すなわち5万円を下回ることが多くなってきたそうです。言い換えれば、お客様は10万円の作業を依頼したつもりでも、作業する側にとっては5万円以下の仕事に過ぎないということです。ディーラーに安くしろ、と言うと、結局は下請けが泣かされる、もしくは金額にあわせた作業をされることが多いように思います。

では、ディーラーに作業依頼するメリットは何でしょうか。あえて言えば、手続きが簡単なことと、安心感でしょうか。

言われた金額が妥当かどうか。修理が上手にできているか。正直言って、シロートの方にそれを判断する基準そのもがありません。上手でも、ヘタクソでも、あるいは丁寧な作業でも、手抜き作業でも、出来上がったときは同じに見えてしまうからです。

言葉を代えて言えば、保険であれ自費であれ、同じ50万円を支払っても、実際には20万円や30万円のものを買わされていることがあるかも知れませんが、支払う側には、その区別が付かないということです。ネットで最安値を探して作業依頼すると、とんでもないところに当たってしまう可能性もあります。

自分で板金・塗装会社を探して依頼するのは面倒くさいと思われるかもしれません。あるいは、ディーラーに依頼すると、少なくともヒドイ仕事はしないだろう、あるいはあとで何かあったときにはクレーム処理してくれるだろう、とお考えになられるかもしれません。

しかし、たとえばディーラーが下請けに出す板金・塗装業者に直接修理を持ち込めば、同じ作業内容なら、少なくともディーラーに出すよりは格段に安く作業してもらえる交渉はできると思いますし、あとのクレーム保障も同じでしょう。ディーラーがクレーム保障してくれると言っても、実際に再作業するのは下請け業者だからです。それに対してディーラーが費用を負担するケースは稀だと思います。また反対に、同じ費用を払えば、より丁寧な作業をしてもらえるでしょう。

しかし、本音で言えば、一般の方が良い板金・塗装屋さんを探すというのは、なかなか難しいと思います。大きなショップでも職人さんの技術がイマイチだったり、時間に追われて丁寧な作業が出来なかったり、反対に小さなショップでも腕の良い職人さんがいたり、その判別は難しいと思います。「友人・知人の話によれば」というのも、その方がプロでない限り、信じる根拠はありません。敢えて言えば、一見さんで飛び込むのなら、高級輸入車を数多く作業しているところ、でしょうか。そういうショップなら、そこそこのレベルの仕事をしているでしょう。下手な仕事をしてクレームの山になると続きませんからね。

保険修理の場合でも、こういった下請け業者の殆どは保険修理を受けてくれます。もちろん、弊社でも保険修理をお受けしております。

          

チョコっとした狭い部分の塗装でも、その部分だけ塗装すると、1年もすれば周囲との色の違いが分かってしまいますので、手は掛かりますが、少し広い面積で塗装し、気付きにくい部分でボカしておくと、分かりにくくなります。一般的に保険で認められるブロック塗りという、たとえばドアならドアだけを塗装する方法だと、隣り合うパネル同士の色の差がハッキリ出てしまいます。走っている車を見て、たとえばドアだけ微妙に色が違って見える、なんてこと、ありませんか?

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弊社の場合も、同じ金額なら、より広い面積を塗装して色の差を分かりにくくしますし、同じ作業なら安く作業させていただいております。また、最近の塗装はガン肌がハッキリ出ていますので、新しく塗装した部分のガン肌を、オリジナル塗装のガン肌に合わせるよう配慮しています。同じ塗料、同じガンを使っても、希釈率やエアの圧力、あるいは吹き方でガン肌は変わります。こういった部分は「技術」ですが、隣り合うパネル同士でガン肌が変わると、ブサイクですからね。

塗料にしても、良質の塗料を使っておけば、変色が少なかったり、持ちが長かったりします。いまはメタリックだけでなく、ソリッド・カラーでも必ずクリアーを塗りますので、特にクリアーは良質の塗料を使いたいものです。シッケンズのクリアーは丈夫ですので、小石が飛んだときの欠けも相対的に小さいですし、擦り傷もつきにくいですね。また、経験的に、経年変化によるツヤ引けも抜群に少ないと思います。

ちなみに、色を合わせると言っても、100%合わせるのは物理的に不可能です。メーカーでの塗装と町工場での塗装では、使う塗料も塗装方法も異なりますし、新車から年数が経過していれば、すでに新車時の色とは異なります。特に某メーカーの塗装は他社に比べて色落ち、ツヤ引けともに最も激しいというのが塗装職人の間では定説になっているようです。

各塗料メーカーは自動車メーカーのカラー・コードに対応する調合表を提供しています。部分補修をする場合は、まずトランクの裏あたりに貼ってあるスティッカーを見て、その車のカラー・コードを調べます。そして、たとえばT社のブリリアント・レッド0794なんて書いてあると、それで調合表を調べます。そうすると、どの色と、どの色を、何パーセントずつ混ぜる、というデータが出てきます。通常、少なくとも7-8種類の色を混ぜます。カラー・コードが分からない場合は、カラー・マップで近似色を探し、その色のデータを探します。日本では普及していませんが、カラー・センサーで色を読み込み、調合データを表示するシステムもあります。

作った色を白いシートに吹き、ボディの色と比較して合っているかどうか確認します。しかし、調合データ通りに作っても、それでピッタリ合っていることは、まずありません。どれかの色を増やしながら、何度も同じ作業を繰り返して色を近づけていきます。しかし、前述の理由により、それでも100%合うなどというのは物理的に不可能なのです。

誤解されそうですが、あえて分かりやすいよう概念的に言えば、70%程度合っていれば上々、上手な職人さんでも85%程度しか合わない、ぐらいにお考えください。しかし、それでも多くの方には、その差は分かりにくいのですが、光の当たり具合で、アレ?と思ったりします。同じ色でも上面に塗るのと、側面に塗るのとでは違って見えます。色が合っているはずのタッチアップ・ペイントでも、薄く塗るのと、重ね塗りするのとでは違って見えます。

しかも、メーカーで塗った古い塗装と補修用の塗料で塗った新しい塗料の変色する度合というかスピードは異なります。言い換えれば、塗ったときは「そこそこ」合っているように見えても、少しすると色の差はハッキリわかるようになってしまうということです。

それだけに、調色だけでなく、どこまで塗って、どこでボカすか、というのが重要になってきます。

仕上がったときに分からない(分かりにくい)だけですと、数年後に三毛猫状態になってガッカリすることにもなりかねません。特にメタリックの場合は、メタリック・パウダーの大きさや塗装後の沈み具合で、のちのち悲惨な結果になることがあります。明るいメタリック系やパステル系のメタリックは厳しいですね。

弊社ではバンパーなど樹脂パーツの塗装にはサーフェサーとクリアーに軟化剤を入れています。軟化剤を入れると作業性が悪いため、殆どのショップでは使いませんが、小石が飛んだときに傷がつきにくいことに加え、再塗装した部分を再び当てたときに、ヒビが走るのを防げます。また、弊社では出来る限り部品を数多く外して塗装します。そのほうが出来上がりがスッキリするからです。

板金がヘタクソだったり、手を抜かれていると、前に何度か経験しましたが、作業時間の半分以上を「古傷の修理」に費やさなくてはならず、保険修理だと前の事故跡修理を認めてくれないこともあります。私の甥が信号で止まっていたら後ろからガツンと当てられ、修理しようとパネルを外したところ、中から前の事故跡が出てきました。ところが、溶接でコテコテのうえに、きっちり錆止めをしていなかったため、悲惨な状態でした。それでも、その部分の修理に要した時間は認めてもらえませんでした。見えないところでも、キチンと修理しておかなければ、後で困ることになります。反対に、保険修理でパネルの交換が認められる内容でも、場所や状態によってはパネルを交換せずに叩いたほうが、あとあとのために良い場合もあります。

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少し前に、弊社が一杯で作業できず、ご本人の承諾を得て知り合いの板金・塗装屋さんに修理をお願いしたことがありました。出来上がったときは、まことにもって恥ずかしい限りで、私も気付かなかったのですが、少しすると付いているゴムのモールが浮いてきました。良く見てみると、僅かに下方向に向かってアールが付いていた損傷部を、極端に言えば平面に板金してありました。また、アール部分の鉄板そのものをキチンと板金して出したのではなく、部分的にパテが盛られていたため、モールを留めるピンがキッチリと中まで入らない状態でした。それを両面テープで貼ってあったのですが、それが浮いてきたということでした。ご紹介した責任がありますので、慌てて弊社で再作業させていただきましたが、いやはや、参りました。出来上がってしまうと、我々でも気付かないことがあります。

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修理内容については、どういう材料を使い、どういった作業をすれば、その結果がどうなるのか、その違いの説明を聞き、よく相談の上、決めなくてはなりません。また、作業によっては、途中の経過を確認することも大切です。気に入っておられるクルマなら、なおさらです。

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ちょっとした板金・塗装修理が必要になったときは、ご相談ください。
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