楽しいブログのご紹介

弊社のお客様で、10年前にW124を全塗装され、弊社HPの「全塗装のご案内」でもご紹介させていただきました。彼は阪大で院まで溶接を専攻されたのですが、その後の職の選び方も趣味も実にユニークでマニアック。しかも僕と同じで「何でも自分でやってみよう」精神が旺盛な方で、前に機械式時計の整備をお教えいたしましたところ(僕は昔から機械式時計の修理/整備ができるのですよ。もちろんアマチュア・レベルですが)、しばらく、それにハマっておられたようです。家族の時計だけでなく、ご友人のロレックスまで整備されたという長足の進歩振りにはビックリ。

彼はW124のほかに初代ユーノス・ロードスターも所有しておられ、最近独立され、設立された会社(弁理士事務所)のブログに整備記録をアップしておられます。しかし、最低限、小さなフロア・ジャッキと「馬」、そしてクリーパー(コマの付いた寝板)は欲しいところですね。いずれも高価なものではありませんが効率的に作業できます。加えて、モーター・グライダーのパイロット/整備士の資格も持っておられるというマニアックぶりで、彼のブログでモーター・グライダーのキャブが意外とシンプルだということを知りました。

スチレン製の(模型)飛行機を10年前に設計し、改良を重ねながら、毎年、大量生産(!)しておられるという記事も興味深く読ませていただきました。

飛ぶための推進装置を持たない模型飛行機の設計には「かなり」の知識と「計算」が必要だと理解しています。少しでも長い時間飛行させるためには失速速度を出来る限り低くしなくてはならず、そのためには何よりも軽くなければなりませんが、失速速度は翼面荷重の平方根に比例しますので、強度と機体重量との関係で主翼の面積をどれぐらいにするのかというのはムツカシイ問題のように思います。某大学の某元教授は新入生に紙飛行機を作らせて一斉に飛ばし、遠くまで飛んだものとダメだったものとを比較して飛行の原理を実習させたと聞きました。

彼の飛行機は、真上に打ち出して高度を下げながらクルクル回って飛行する、という飛ばし方に特化された設計がなされています。飛行の原理は主翼の上下に気圧差を作り揚力を得るというものです。1㎡の面積の上下で0.1気圧の差を作れば1トンの揚力が得られるそうです。なるほど。エアバスA380も空に浮かぶというものです。水平に飛ぶためには主翼に上半角を付けたり、翼の断面を上に膨らませて、その気圧差を作りますが、彼の飛行機の主翼には上半角が付いていません。打ち出すときに真っすぐ上に向かって上昇するためと、上から「落ちてくる」ため、落下時には上半角と同じ効果があるのでしょう。

また、一般的には主翼の揚力だけで機体を持ち上げますが、この飛行機は水平尾翼を機体の最も後ろまで下げることにより重心を後ろに下げ、主翼と尾翼の両方で揚力を稼いでいるのですね。ヨーイングを防ぐため、主翼の半分ぐらいの長さで結構な上半角が付いていますが、最近の旅客機のように翼端にだけ大きな上半角を付けた方が揚力を稼げるのでは?翼端に少し捻り下げを付ければ失速速度が下げられるのでは?なんて何も知らないズブのシロートは、ついつい根拠もなく考えてしまうのですよ。次回はもう少し理論的なことを説明してくださるとのことですので、いまから楽しみにしています。

ちなみに、ギネスブックに認定されている「紙飛行機」の世界最長飛行時間の記録は日本人の戸田拓夫氏が持つ29.2秒です。記録を達成されたときの画像を見ますと、ほぼ垂直に投げ出しておられます。

ぼくの父は一時期「竹トンボ」に凝った時期があり、月に1回か2回、竹トンボの会のようなものに通っていました。どうしても勝てない相手がおられ、それこそ何十個と削り出しましたが、それでも勝てなかったそうです。上昇していくときは推力が大きく、したがって高く上がるためにはプロペラの理論が成立するのではないかと想像しますが、落下してくるときは推力が落ちていますので、自重と空気抵抗のバランスがモノをいうのでしょうか。前に「竹トンボ名人」の作った竹トンボと、コンピューターで設計した竹トンボを飛ばして競うという番組を見ましたが、竹トンボも奥が深い世界のようです。

一度、彼の会社のホームページをご覧ください。右端がブログです。お好きな方は、きっとニンマリされること請け合いです。

あみ知的財産事務所:http://ami-ip.net/service.html

独立される前は主に自動車関連の国際特許を扱っておられたそうですので、機械モノの特許を申請される方なら、彼の知識、理解力、分析力が強力にバックアップしてくれると思います。