同じ市内ですが、15年ちょっと前に、いまの家に引っ越しました。そのとき、持っていたオーディオ機器を整備しようと思い立ち、3社に連絡しました。
A社(英国)
古いスピーカー・ユニットです。父が使っていたものを私が引き継ぎ、かれこれ30年以上経っていました。そろそろエッジがヘタってきましたので、コーンを張り替えるか、コーンとフレームのアッセンブリーごと交換しようと思いました。
B社(米国)
父が欲しいと言って購入したプリ・アンプ。当時は、ちょっとした国産車1台分の価格でした。ボリュームから雑音が出るようになり、ボリュームを交換したいと思いました。
C社(日本)
世界最高性能を謳ったプリ・アンプ。僕が勤めていたメーカーの製品で、僕が海外プロモーションを担当していました。長期間にわたり自分で使ってみなければ、本当の良さは分からないと思い、社員割引で買うと高いので、秋葉原の親しい店で、安く購入しました。とはいえ、私の給料の半年分。熱を持つと音に高周波が乗ってくるので、高圧回路の半導体を何個か交換したいと思いました。知り合いに迷惑を掛けるのも悪いと思ったので、一般客としてお客様センターに連絡しました。
3社からの返事
A社(英国)
我々の製品を、これだけの長期間お使いいただいていることに対し敬意を表するとともに、親子2代にわたり気に入っていただいていることを誇りに思います。父上のお名前を過去の顧客リストで発見いたしました。現在、その商品は廃版になっており、部品在庫もありません。作るのに少々時間をいただきますが、出来上がったらご連絡を差し上げます。
B社(米国)
その部品は、すでに部品メーカーでも廃版になっており、入手できません。つきましては、XXというメーカーのXXX番が代替品として使えます。当社で確認しておりますが、性能的には同一です。ただし、そのためには、同封いたしました回路図の赤で囲んだコンデンサーをXXの値のものに交換し、図に示した通り、取り付け部分をXXmm削らなくてはなりません。
C社(日本)
その製品は、すでに部品の在庫期間を超えており、探しましたが部品の在庫もなく、担当部門に確認いたしましたところ、代替可能な部品もないとのことでございました。悪しからず、ご了承ください。
結果
A社(英国)
すっかり忘れたころに連絡があり、部品在庫として掲載されていた最後の年の価格で購入。自力で復活。2個注文したのですが4個入っており、インボイスの端に「あなたのご子息のために!」と書いてありました。
B社(米国)
紹介された米国のメーカーから部品を入手。自力で復活。
C社(日本)
仕方がないので、設計に残っていた同期の社員に電話し、別回路を組んでもらい、復活。最近、別のところに不具合が出ましたが、同期はすでに定年退職していました。
国が違えば、考え方も違う。会社の規模が違えば、対応も違う。
なんでも「使い捨て」というのも、さびしい話ですよね。