デザイン

デザインだけは、誰でも、何とでも言えるだけにヤッカイです。理論ではなく、感覚だからです。

かつて某電機メーカーで海外プロモーションを企画する部署に勤務していた私は、自分の関係するカテゴリーのデザイン会議に出席する機会が多くありました。デザイン室から出てきたモックアップを見ながらコメントする会議ですが、スイッチの位置が使いにくい、あるいは何かの表示が見にくい、といった意見は製品として世に出すためには有益な議論ですが、なかに形状や色などを批評する人がおられました。要するに、そのデザインや色がお気に召さないのですよ。そこは四角より丸のほうが、あるいは緑より青のほうが良いのではないか、みたいなご意見です。デザイナーは返事に窮します。

デザイン会議で「えらいさん」に酷評されたものの、様々な事情で、ほぼ、そのまま発売したところ、某デザイン賞を受賞した製品がありました。おまけに、その製品を使った広告までもが某新聞の広告賞をいただきました。デザイナーは、内心、ほくそ笑んだでしょう。しかし、その製品はサッパリ売れず、倉庫には在庫の山が残りました。ところが、同じコンセプト、同じ価格帯で数ヵ月後に後追い発売された(パクリとも言います)競合他社の製品は、特定の年齢層にバカ売れし、秋葉原でも入荷待ちのリストが出来たほどでした。私の目には、ブサイクとしか見えなかったのですが。

メルセデスが角目から丸目になったとき、某自動車雑誌は「慣れていただくしかない」というコメントを載せました。筆者のお気に召さなかったのでしょう。大概のクルマは、最初は奇異に思えても、次第に慣れ、少なくとも違和感を覚えなくなるものですが、私はいまでも、このときのデザインに違和感を覚えます。最後まで慣れませんでした。私の感覚がズレているのでしょうか。メルセデスのデザイン会議で、どのような会話が交わされたのか、聞いてみたい。